2019年の労働基準法改正による勤怠管理の義務化強化、テレワークの普及による勤怠管理の複雑化から、クラウド型勤怠管理システムへの移行ニーズが急拡大しています。この需要に応えて報酬を得るのが、勤怠管理システム代理店です。
勤怠管理システム代理店は、KING OF TIME・ジョブカン勤怠管理・マネーフォワードクラウド勤怠・freee人事労務などのクラウド型勤怠管理システムを法人に提案・販売して報酬を受け取るビジネスです。この記事では、勤怠管理システム代理店の仕組み・報酬・始め方を解説します。
勤怠管理システム代理店とは?
勤怠管理システム代理店とは、従業員の出退勤時刻・残業時間・有給休暇取得状況などを電子的に管理するクラウド型勤怠管理システムを法人に提案・販売して報酬を受け取る事業者です。
「クラウド勤怠代理店」「HR・勤怠SaaS代理店」「労務管理システム販売代理店」などとも呼ばれます。
勤怠管理システム代理店が扱う商材の種類
クラウド型勤怠管理システムの販売:KING OF TIME(ヒューマンテクノロジーズ)・ジョブカン勤怠管理(Donuts)・マネーフォワードクラウド勤怠・freee人事労務・SmartHRなどのSaaS型勤怠管理システムを中小〜中堅法人に販売します。月額費用は1人あたり数百円〜数千円が相場で、導入しやすい価格帯です。
タイムレコーダー・打刻端末との組み合わせ販売:クラウドシステムだけでなく、現場での打刻に使うタイムレコーダー(ICカード打刻・顔認証打刻)やスマートフォンアプリとの組み合わせ提案も代理店の仕事です。
給与計算システム・人事系SaaSとのセット提案:勤怠管理データを給与計算システムと連携させる提案を行うと、1顧客からの提案単価が上がります。マネーフォワードクラウド給与・freee人事労務のような統合型HRプラットフォームはセット提案に向いています。
既存の紙・Excelベースの勤怠管理からの移行支援:タイムカードやExcelで勤怠管理をしている中小企業に対して、電子化移行を提案します。「法改正への対応」「テレワーク管理」「有給休暇の自動管理」という3つの訴求ポイントが特に有効です。
勤怠管理システム市場の現状
2019年の労働基準法改正により、使用者は労働者の労働時間を「客観的な方法」で把握する義務が課せられました。タイムカードやExcelによる管理は「客観的な方法」として認められにくくなっており、クラウド型勤怠管理システムへの需要は全企業規模で高まっています。また、テレワーク・フレックス制・変形労働時間制など多様な働き方への対応も勤怠管理システムの導入動機になっています。
矢野経済研究所のレポートによると、国内のHRテクノロジー市場は2024年度に8,000億円超が見込まれており、勤怠管理はHRテクノロジーの中でも最も導入率が高いカテゴリです。
勤怠管理システム代理店の仕組みと報酬
ライセンス販売の報酬
| 商材の種類 | 月額費用目安 | 代理店への初回報酬 |
|---|---|---|
| クラウド勤怠(〜50人規模) | 1〜5万円/月 | 3〜15万円/件 |
| クラウド勤怠(51〜200人規模) | 5〜20万円/月 | 10〜50万円/件 |
月次継続報酬
| 契約の種類 | 月額費用目安 | 代理店への継続報酬 |
|---|---|---|
| SaaS月額ライセンス継続 | 1〜20万円/月 | 1,000〜4万円/月(継続) |
副業としての収入シミュレーション
| 活動内容 | 月収目安 |
|---|---|
| クラウド勤怠 月5件(平均5万円) | 25万円 |
| 月次継続収益 30社(平均1.5万円/月) | 45万円/月 |
勤怠管理システム代理店は儲かるのか
勤怠管理システムは「社員がいる限り毎月課金が続く」SaaS型が主流です。契約企業数が増えるほど毎月の継続収益が積み上がるストック型ビジネスの典型です。初回の成約報酬に加えて、毎月の継続報酬が入り続ける点が代理店として安定収益を作りやすいポイントです。
「法改正対応」という切り口が刺さる
「勤怠管理を電子化しよう」という動機より、「法改正に対応しなければいけない」「残業時間の管理ができていないと指導を受ける」というコンプライアンスの文脈のほうが中小企業経営者の行動につながりやすいです。「御社は今、客観的な勤怠把握ができていますか?」という質問から入ると経営者の関心を引きやすくなります。
給与計算・人事管理とのセット提案で単価アップ
勤怠管理だけでなく給与計算・有給管理・雇用契約書管理まで一元化できる統合HRプラットフォームへのアップグレード提案は、1件あたりの単価を2〜3倍にできます。「勤怠はとりあえず入れた」企業への追加提案が有効です。
注意点
個人情報・労働時間データの取り扱い:勤怠データは従業員の個人情報です。クラウドサービスのセキュリティ要件や個人情報保護法への準拠を顧客に正確に説明できる準備が必要です。
既存の給与計算ソフトとの連携確認:多くの中小企業は既存の給与計算ソフト(勘定奉行・弥生給与など)を使っています。勤怠管理システムを新しく入れる際に既存システムと連携できるかの確認が必須です。
勤怠管理システム代理店の始め方
STEP1:主要クラウド勤怠サービスの代理店プログラムに申し込む
KING OF TIME・ジョブカン勤怠・マネーフォワードクラウド勤怠などは公式パートナープログラムを設けています。複数の製品を比較提案できるようにするために、異なる価格帯・機能の製品を2〜3つ押さえておくと提案の幅が広がります。
STEP2:ターゲット企業の規模・業種を決める
従業員10〜50人規模の中小企業は、タイムカードやExcel管理からの移行ニーズが高く、決裁権を持つ経営者・総務担当者への直接提案がしやすいです。飲食業・製造業・建設業・介護・小売業は現場での打刻管理の煩雑さから特に導入効果を実感しやすい業種です。
STEP3:社労士・税理士との連携チャネルを作る
勤怠管理は社会保険労務士(社労士)・税理士の顧問先企業と深く関係します。社労士・税理士にとって「顧問先の勤怠管理を電子化したい」というニーズは常にあり、代理店として「社労士の顧問先向けに導入支援するパートナー」として活動できると一度に複数社の成約につながります。
向いている人・向いていない人
向いている人
社労士・HR・労務管理の知識・経験がある人
勤怠管理・残業管理・有給休暇の法定要件を理解していると、経営者・総務担当者への提案が格段に具体的になります。「法改正でどんなリスクがあるか」を説明できると、行動を後押しできます。
中小企業の経営者・総務担当者とのネットワークがある人
勤怠管理の見直しを検討している中小企業は多く、「相談しやすい身近な存在」がいると動き出しやすいです。既存の士業・コンサルティングネットワークを活かした紹介営業が特に有効です。
SaaS・クラウドサービスの販売経験がある人
月額契約・トライアル提案・継続管理の流れを経験している人は、スムーズに活動を始められます。
向いていない人
細かいシステム設定・初期導入サポートを避けたい人
勤怠管理システムの導入には、打刻機器の設定・従業員アカウントの作成・シフトパターンの登録など細かな初期設定が伴います。「売るだけ」では顧客満足が得られません。
よくある質問
勤怠管理システムの代理店になるのに資格は必要ですか?
特別な国家資格は不要です。社会保険労務士の資格があればより専門的な提案ができますが、代理店として販売・導入支援するだけなら資格なしで始められます。主要製品のパートナー認定プログラムに申し込んで研修を受けるだけで活動できます。
タイムカード・紙管理からの移行を嫌がる経営者には何と伝えればいいですか?
「今のやり方で問題が起きていないなら変える必要はない」という経営者には、「残業時間の管理ができていないと、労基署の指導が入ったとき証明できない可能性があります」という具体的なリスクを伝えることが有効です。「電子化によって総務の月次集計作業が何時間削減できるか」を計算して見せると、投資対効果が伝わりやすくなります。
競合するサービスが多くて提案に迷うのですが、どう絞ればいいですか?
まず「ターゲット企業の規模」で絞ることをおすすめします。50人以下の中小企業なら月額1人200円〜300円台のジョブカン勤怠・KING OF TIMEが価格訴求力があります。50〜200人規模で給与計算との連携を重視するならマネーフォワードクラウド勤怠・freee人事労務が選ばれやすいです。提案先の規模に合わせて1〜2製品に絞ることで製品知識が深まり、成約率も上がります。
テレワーク対応が必要な企業への提案はどうすればいいですか?
GPS打刻・PCログオン・オフィス入退館連動など、テレワーク環境での勤怠把握に対応した製品を選ぶと提案の幅が広がります。KING OF TIMEはスマートフォンGPS打刻に対応しており、テレワーク・外回り営業が多い職種への提案に適しています。
まとめ
勤怠管理システム代理店のポイントを整理します。
- 役割:KING OF TIME・ジョブカン・マネーフォワードクラウド勤怠などのクラウド勤怠管理システムを法人に提案・販売して報酬を受け取る
- 報酬:初回報酬3〜50万円/件。月次継続報酬1,000〜4万円/月のストック収益
- 始め方:主要クラウド勤怠サービスの代理店プログラムに申し込み→社労士・税理士との連携チャネル構築→中小企業へのコンプライアンス訴求提案
- 向いている人:労務・HR知識がある人・中小企業経営者とのネットワークがある人・SaaS販売経験がある人
勤怠管理システム代理店は、法改正対応需要と月次継続報酬の積み上がりが見込めるビジネスです。まず社労士・税理士との連携チャネルを作り、彼らの顧問先企業への導入支援から始めてみましょう。