2023年末の電子帳簿保存法改正完全施行により、電子取引データの電子保存が全企業に義務化されました。「対応しなければいけないがどうすればいいかわからない」という中小企業のニーズに応えて報酬を得るのが、電子帳簿保存法対応代理店です。
電子帳簿保存法対応代理店は、freee・マネーフォワードクラウド・invox・スキャンラム・RICOH Cloudなどの電子帳簿保存法対応ソフト・サービスを法人に提案・販売して報酬を受け取るビジネスです。この記事では、電子帳簿保存法対応代理店の仕組み・報酬・始め方を解説します。
電子帳簿保存法対応代理店とは?
電子帳簿保存法対応代理店とは、電子帳簿保存法(電帳法)への対応を支援するクラウドシステム・文書管理ソフトを法人に提案・販売して報酬を受け取る事業者です。
「電帳法対応ツール代理店」「文書電子化支援代理店」「経理DX代理店」などとも呼ばれます。
電子帳簿保存法とは何か
電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿・書類の電子保存に関するルールを定めた法律です。2022年の改正で「電子取引の電子保存義務化」が盛り込まれ、2023年末の完全施行後は、メールで受け取った請求書・発注書・領収書などを電子データのまま保存することが全企業に義務付けられました。
電帳法への対応には大きく3つのカテゴリがあります。
- 電子帳簿保存:会計ソフト等で作成した帳簿・書類を電子データで保存する
- スキャナ保存:紙の書類をスキャンして電子保存する(一定の要件を満たすことが必要)
- 電子取引データ保存:メール・EDI等の電子取引で受け取ったデータを電子保存する(2023年から義務化)
電子帳簿保存法対応代理店が扱う商材の種類
経費精算・電子帳簿対応ソフトの販売:freee会計・マネーフォワードクラウド会計・弥生会計などの電帳法対応機能を持つ会計SaaSの導入を支援します。
受取請求書・電子取引データ保存サービスの販売:invox・楽楽精算・バクラク・スキャンラムなど、受け取った請求書・領収書のデータを自動で電帳法の要件に合った形で保存するサービスを提案します。
紙書類のスキャナ保存支援:既存の紙書類をスキャンして電帳法要件(タイムスタンプ・真実性確保)を満たす形で電子保存するワークフローの導入を支援します。
税理士・会計事務所経由の顧問先への提案:電帳法対応ツールを税理士・会計士事務所に提案し、その顧問先企業への展開を図ります。1顧問先の紹介が複数顧客の成約につながる、効率的なアプローチです。
電子帳簿保存法対応市場の現状
MMD研究所の調査によると、電帳法の完全義務化(2023年)後も「対応が完了していない」中小企業が全体の40%以上に達するという結果が出ています。特に従業員20人以下の小規模事業者は対応が遅れており、税理士からの指摘・税務調査を機に急いで対応しようとするケースが多いです。
電子帳簿保存法対応代理店の仕組みと報酬
電帳法対応ソフトの販売報酬
| 商材の種類 | 月額費用目安 | 代理店への初回報酬 |
|---|---|---|
| 電帳法対応SaaS(中小規模) | 1〜5万円/月 | 3〜15万円/件 |
| 電帳法対応SaaS(中堅規模) | 5〜20万円/月 | 10〜50万円/件 |
月次継続報酬
| 契約の種類 | 月額費用目安 | 代理店への継続報酬 |
|---|---|---|
| 月額SaaS継続 | 1〜20万円/月 | 0.5〜4万円/月(継続) |
副業としての収入シミュレーション
| 活動内容 | 月収目安 |
|---|---|
| 電帳法対応SaaS 月5件(平均8万円) | 40万円 |
| 月次継続 20社(平均2万円/月) | 40万円/月 |
電子帳簿保存法対応代理店は儲かるのか
電帳法対応代理店が収益を上げやすい最大の理由は「義務化」という強制力です。「対応しないと罰則(青色申告の取り消し等)リスクがある」という事実が、顧客の行動を促します。電力・ガスの乗り換えなどコスト削減訴求の代理店と異なり、「やらないリスク」を訴求できる点が成約率の高さにつながります。
税理士との連携が最強のチャネル
電帳法対応の相談は真っ先に税理士に行きます。税理士が「このツールを使うとよいですよ」と勧めると顧客はほぼ無条件で動きます。税理士事務所と提携して「顧問先の電帳法対応を代行する代理店」として動くと、1度の提携から数十社への展開が見込めます。
「対応済みかどうかのチェック」から始める提案
「御社はすでに電帳法の対応が完了していますか?」という質問から入ると、「実はまだできていない」という経営者・経理担当者の本音が引き出せます。「何が義務で、何が済んでいないか」を一緒に確認することがそのまま導入提案になります。
注意点
法改正情報の継続的なアップデート:電帳法は改正頻度が高く、要件・緩和措置の内容が変わります。国税庁の公式ガイドラインを定期的に確認し、最新情報を顧客に提供できる体制が必要です。
ツール選定の正確なアドバイス:電帳法の要件(真実性確保・可視性確保)を満たすためには、ツールの機能要件を正確に把握する必要があります。「この製品を使えば完全対応できます」という断定的な説明は、要件を正確に確認したうえでないと誤った案内になるリスクがあります。
電子帳簿保存法対応代理店の始め方
STEP1:主要電帳法対応ツールの代理店申請をする
invox・freee・マネーフォワードクラウドなどの主要サービスは代理店・パートナープログラムを設けています。まず1〜2製品を選び、代理店登録と製品研修から始めます。
STEP2:税理士・会計事務所とのパートナーシップを構築する
「電帳法対応のツール選定と導入支援は私に任せてください」という形で地域の税理士・会計士事務所に提案します。税理士の本業は税務・会計であり、ITツールの選定・導入支援は専門外です。「代わりにやります」という代理店の価値が認められれば、顧問先企業への紹介が続きます。
STEP3:「電帳法対応チェックリスト」を営業ツールとして活用する
「御社の電帳法対応状況チェック表」を用意して、何が対応済みで何が未対応かを可視化するヒアリングシートを作ると、提案の起点として使いやすくなります。
向いている人・向いていない人
向いている人
経理・税務の知識がある人
電帳法の要件を正確に理解し、「何が義務で何が任意か」を説明できる人は、経営者・経理担当者から信頼されます。税理士・会計士の人脈を持つ人も有利です。
SaaS・クラウドサービスの販売経験がある人
月額SaaSの提案・継続管理の流れを理解している人は、電帳法対応ツールの代理店としてすぐに活動できます。
向いていない人
法改正情報の継続的な確認が苦手な人
電帳法は改正頻度が高いです。最新情報を追い続ける姿勢がない人には、顧客への正確な情報提供が難しいです。
よくある質問
電子帳簿保存法対応代理店になるのに資格は必要ですか?
特別な国家資格は不要です。ただし電帳法の要件を正確に理解しておく必要があります。税理士・公認会計士・ITコーディネーターの資格は信頼度を上げますが、なくても活動できます。
電帳法に対応しないとどんなペナルティがありますか?
義務要件に違反した場合、青色申告の承認取り消しや、加算税(重加算税)の対象になる可能性があります。また税務調査の際に電子取引データが適切に保存されていないと、証拠書類として認められないリスクもあります。「罰則があるから対応しなければいけない」という事実が提案の起点になります。
紙の請求書をもらっている場合はどうすればいいですか?
紙で受け取った書類は「電子取引」には該当しないため、電帳法の電子保存義務の対象外です。ただし「スキャナ保存」の要件を満たして電子化すれば紙の原本保管が不要になります。一方、メール添付のPDF請求書などは電子取引に該当するため、電子保存が義務です。紙と電子が混在している企業への整理説明が代理店の重要な仕事です。
まとめ
電子帳簿保存法対応代理店のポイントを整理します。
- 役割:電帳法対応のクラウドシステム・文書管理ソフトを法人に提案・販売して報酬を受け取る
- 報酬:初回報酬3〜50万円/件。月次継続報酬0.5〜4万円/月のストック収益
- 始め方:主要電帳法対応ツールの代理店申請→税理士・会計事務所との提携構築→「対応チェックリスト」を活用したヒアリング提案
- 向いている人:経理・税務の知識がある人・税理士ネットワークがある人・SaaS販売経験がある人
電子帳簿保存法対応代理店は、義務化という追い風と税理士チャネルの組み合わせで効率的に成約を積み重ねられるビジネスです。まず税理士・会計士事務所へのパートナー提案から始めてみましょう。